一夜で年収を稼ぐケースもある中国の「羊毛党」とは?

世界最大のスマートフォン市場である8億人以上のユーザーを抱える中国では、都市部にユニークな農場が出現しています。そう農産物はスマートフォンを使った不正です。
ファームとして知られるこの不正の一例では、何百、何千台ものiPhoneやAndroidのスマートフォンを棚に置き、自動的に特定のアプリを何度も検索、クリック、ダウンロードするようプログラムされています。アプリストアのランキングや検索結果のシステムを操作するために行われているもので、大きなファームだと17,000台以上のスマホが同時に操作されています。

自社製品の認知度を高めるためアプリのプロモーションにファームがよく活用されていますが、ECサイトでも肯定的なレビューの書き込みをして検索結果を操作しているケースもあり、どの業界においてもインターネット上ではフラウド(不正)が蔓延しています。
中国のデジタルマーケティングソリューション企業であるAdmasterによると、10万台以上の携帯電話が、一日中同じ場所の上海からウェブサイトにアクセスし続けていることを発見しました。

ビデオサイトにある人気番組の視聴回数の90%は偽物

フェイク・ビューのビジネスは非常に広く普及しており、中国の国営メディアCCTVによると、ビデオサイトにある多くの人気番組の視聴回数の90%が偽物であると報じています。投稿者は広告主を引き付け広告費を稼ぐために投稿の表示回数や動画の視聴回数を水増するためファームの表示・視聴回数を購入しているようです。

不正行為は以前よりも厳しく取り締まられ、人間のファームへ

このような手法は中国で違法とみなされており、Appleのようなアプリストアによって検知され、ブロックされる危険に常にさらされていますが、ファームはいたるところに存在します。日々ファームのオペレーター(操作する人間)とAppleの進化するアルゴリズムとのイタチごっことなっていますが、ついに中国政府は公式に、電子商取引サイトにおける電子詐欺を撲滅するキャンペーンを開始しました。中国に存在する反不正競争法が改正されたことで、不正行為は約300万円の罰金で処罰されることになりました。

このような背景もあり、ファームはロボットから人間と変化を遂げています。実際に人間が水増しをしているため検知、排除、違法だといって取り締まることは以前よりはるかに困難になっています。

中国で普及しているメッセージアプリのWeChatとQQでは、アプリをダウンロードしてレビューをしたら報酬を得られるといったお小遣い稼ぎのためのグループチャットが存在します。自然なユーザーのように見えるため、アプリストアによってブロックされる可能性はわずかです。通常のファームよりも高報酬ですが短期間でアプリを宣伝するための効果的で比較的コストパフォーマンスの良い方法であると考えられています。
一夜で年収を稼ぐケースもある中国の「羊毛党」、1兆円を越えるグレーなビジネス産業に肥大

一方、ファームと同様の手法を使い企業のプロモーションを利用し、一夜にして54万元以上(およそ800万円)を稼ぐこともある「羊毛党」と呼ばれる人も増加しています。「羊毛党」とは、クーポンやギフト券、現金報酬など企業のオンラインマーケティングプロモーションを利用して合法的にお金を稼ぐ人を指します。
この言葉の由来は、1999年に放映されたTVドラマの中である村の牧場で働く年老いた女性が、共同所有していた羊の毛を盗み刈り夫のセーターを作ったことからと言われています。

羊毛党によってIT企業が食いつぶされ、倒産するケースも

「羊毛党」は技術に詳しい若者が行なっているとみられ、オンライングループ内で次にどの企業をターゲットとするか情報交換をしています。中国証券紙の調査結果によると、黒灰生産(合法だが非常に悪質なグレービジネス産業)はすでに年間1,000億元(およそ1兆円)クラスとなる巨大な利益チェーンを形成しており、上下流の緻密な分業によって密接に協力したネットワークを構築しています。

大企業が何千万円もの被害が出ることは会社の発展に大きな影響を与えませんが、新興企業の場合は膨大なマーケティング費用を払い、大量のゾンビユーザー(実際に使用しないユーザー)が収穫されるため倒産する可能性があります。

スタバも被害者に、1日半で1.5億円の損失

2018年12月にスターバックスで行われたアプリの新規登録キャンペーンでは、多数の携帯電話番号を使ってスターバックスアプリの偽アカウントを登録してイベントクーポンを受け取ったため、スターバックスは緊急にイベントをやめる事態となりました。1日半という短期間でも被害損失は1,000万元(1.5億円)に及んだと試算されています。

シェアサイクルのキャンペーンを悪用し、自宅で数万円稼ぐ

自転車シェアリング会社のOfoが、サービスを試すと最大5,000元(約8万円)が当たるプロモーションキャンペーンを行いました。ちょっとしたお小遣い稼ぎになるこのキャンペーンを悪用し、多額の報酬を得ている羊毛党がいることが発覚しました。自分の位置情報を好きなように変更できるソフトウェアをインストールし、自転車をOfoアプリからロック解除をすることで、あたかも自転車に乗ってサービスを利用しているように偽っていました。1アカウントでもらえる回数の上限もありましたがネット上で他人名義のアカウントを購入し、実際に部屋を出ることなく1日に数万円を稼ぐ羊毛党もいたようです。

音楽ストリーミングサービスはサーバーバグで約8億円を損失

2018年の元旦に、音楽ストリーミングサイトのTencent Musicがサブスクリプションプロモーションを開始しましたがサーバのバグにより、プロモーション価格の約300円ではなくわずか約2円でサブスクリプションサービスを受けることができ、およそ39万人のユーザーを惹きつけました。Tencentはこの間違いを受け入れるしかなく、報道によると5,180万元(約8億円)を支払ったそうです。

羊毛党はこういった企業のキャンペーンの脆弱性を悪用して不正に報酬を得ています。ほとんどの場合、企業は訴えることもできず泣き寝入りするしかありません。ファームは今やインターネットの重要かつ影の部分となっています。

ファームの被害を防ぐには?

前述の通り、ファームの手法は日々進化し続けており画一的な対策で防ぐことは困難です。

このような不正から身を守るには、しっかりとデータを分析し、異常なものがないか日々確認することが重要です。

Phybbitではアドフラウドをはじめとした様々なデジタル不正を検出、防止するために、日々戦っております。


参照元サイト https://tech.sina.com.cn/i/2019-01-21/doc-ihrfqziz9803897.shtml https://www.abacusnews.com/digital-life/why-chinese-tech-companies-fear-wool-pulling-party/article/3000532 http://blog.livedoor.jp/furongfeng/archives/1065746299.html
http://tamakino.hatenablog.com/entry/2019/07/24/080000