転売問題に対して企業が取り組むべきこととは?

今、世界中の小売市場を混乱させているのが、悪質な転売行為です。従来の中古市場やコレクター市場とは異なり、一般消費者の消費活動を阻害するこの行為は、どのように防ぐ必要があるのでしょうか。

今回は転売問題においてなぜ企業が対策すべきなのか、どのように取り組むべきなのかについて、ご紹介します。

転売問題とは?

転売とは、小売市場に流通している商品を購入し、そのまま新品として別の消費者へと販売する行為のことを指します。

誤って同じ商品を二つ買ってしまった、購入したが要らなくなってしまったなど、これまでも様々な理由から新品の商品が新古品として流通することはありましたが、現在の転売は少し事情が異なります。

特定の商品の希少性を理解した上でそれを買い占め、不当に値段を釣り上げてCtoCサイトなどで販売するのが、現在問題視されている転売行為です。

フリマアプリの普及や、インターネットによる情報交換が盛んになったことで、このような転売行為はあらゆる分野において横行しています。

本来であればより多くの人に行き渡ったはずの商品は、転売業者の買い占めによって不当に流通が塞き止められ、大きな社会問題となっています。

家電やアパレルなど、不正転売の対象となるジャンルは年々拡大しているため、本格的な対策が求められるようになってきています。

転売規制の現状

行き過ぎた転売行為は小売市場の秩序を乱す行為ではあるものの、その違法性を法的に認めるのが難しいことから、未だ規制が進んでいないのが現状です。

チケット転売は規制が進む

転売が法的に規制されている貴重な例としては、チケット転売の防止法案の通過が挙げられます。

2019年より施行されているチケット不正転売禁止法は、不正転売を目的とした販売、および不正転売を目的としたチケットの譲り受けに罰則を設けるというもので、1年以下の懲役や100万円以下の罰金、またはその両方が課せられます。

定価で譲り渡す分に違法性はありませんが、定価を超える価格で利益を得ようとした場合、この禁止法に触れることとなります。

各企業の転売対策に向けた努力が必要に

チケット転売については法的な拘束力が与えられることとなった一方、それ以外の分野については野放しの状況が続いています。

このような状況下にある中、求められるようになったのが各企業の対策です。転売による不当な利益が発生しないよう、メーカーや正当な小売事業者による不断の努力が求められることとなりました。

しかし一方で、小売業者は商品が定価で売れさえすれば良いのだから、転売対策は不要であるという意見も見られます。

目下の金銭的な都合のみを考えればそうかもしれませんが、実は転売対策に企業が取り組まなければ、結果的に彼らも不利益を享受することになるのです。

転売対策に企業が取り組むべき理由

各企業が転売対策に取り組まなければならないのには、いくつかの理由が存在します。

ブランドイメージの低下

大きな理由としてあげられるのが、商品および転売を行うサービスのブランドイメージの低下です。

転売は今や悪質な行為として認知されており、転売が横行するフリマアプリはもちろん、転売のターゲットとなっている商品のブランドにもマイナスイメージを与えています。

「闇市」としてのイメージが定着すれば、健全なユーザーはそのサービスから離れていき、運営に大きな打撃を与える可能性もあります。

また、転売されている商品についても不当に価格が釣り上がることで本来の商品価値を損ない、思ってもいない悪評につながる可能性もあります。

「価格の割に出来が悪い」「すぐに壊れる」など、商品クオリティと消費者の期待値に大きなギャップが生まれ、ビジネスモデルの崩壊につながるかもしれません。

サービスのパフォーマンス低下

小売店の売れ行きは買い占めによって上々であっても、消費者の手元に商品が行き渡らないことで、メーカーは多くの不利益を被ります。

わかりやすい例として、家庭用ゲームの買い占めが挙げられます。いくら目標とする販売台数を記録していても、実際にそれを遊んでいる人がいなければ、それはサービスとして成立していません。

特に近年は、オンラインサービスのサブスクリプションユーザーの獲得が、ゲームビジネスにおいても重要視されています。本体が消費者の手元に行き渡らなければ、企業はサブスクユーザーを獲得できず、利益の低迷につながるためです。

そのため、ゲーム会社は特に転売対策に力を入れなければならないのです。

それでも減らない転売問題への対策方法

こういった不利益を回避するため、企業はどのような対策を進めていく必要があるのでしょうか。

IDと紐つけた限定販売

小売店の対策として見かけるようになっているのが、IDと紐つけた商品の販売です。

例えば家電量販店のノジマでは、購入履歴の確認や、購入者の覆面調査など、徹底した転売対策を実施しています

同一購入者による買い占めを防ぎ、転売が認められた場合にはその後の販売を停止するなどの措置を独自に行っています。

不正検知サービスの利用

オンラインショップの取り組みとしては、Botを使った不当なアクセスによる買い占めを防ぐという手段も存在します。

ログイン時の挙動や、端末情報からBotか、そうでないかを読み取り、手動で正しい購入プロセスを採用するユーザーにのみ販売を許可する方法です。

オンラインショップは、今後ますます不正な電子取引を取り締まるツールやルールの実施が必要になるでしょう。

Spider AFの不正転売対策に向けた取り組み

Spider Labsでは、このような不正買い占めによる転売防止に向けた新たなサービスの展開も開始しています。

同社が展開しているSpider AFは、元々不正なアクセスやクリックを検知し、不当な広告料の詐取(アドフラウド)を防止するためのツールです。

転売防止の検知サービスにおいてもSpider AFの技術を活用し、特定の不審なアクセスを検出することで、予防に努められるという仕組みです。

導入後、二週間で数百件の不正購入を検知した事例もあり、今後もさらなる活躍を期待できるサービスです。

おわりに

不正転売は今や小売市場の活動を妨げ、消費者の生活にも悪影響を与える悪質な行為となっています。

法規制に期待が持てない現状では、企業が独自に転売対策に向けたツールの導入などを急ぎ、対策を進めていく必要があるでしょう。

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