PANEL DISCUSSION2:海外広告プラットフォーム事業社のアドフラウド対策

3月20日(水)にレンタルスペースbyサポーターズ にて「3月アドフラウド勉強会」を開催しました。事前の参加登録ではキャンセル待ちも出るほどで、勉強会当日も100名以上の方にご参加いただき大盛況でした。
本記事では、パネルディスカッション2:海外広告プラットフォーム事業社のアドフラウド対策をお伝えします。



モデレーター
箭内 実 氏(Business development / Ad innovation)
スピーカー
萬野 有生 氏(Director, Business development / Applovin)
天野 耕太 氏(Japan and South korea country manager / Liftoff)
中林 由恵 氏(Japan country manager / Youappi)
Ikkjin Ahn 氏(CEO / Moloco)
通訳:佐藤 瑛人 氏

各社のアドフラウド対策
YOUAPPI
中林氏:Youappiが日本に拠点を設けた2016年からアドフラウドの話はあり、ここ最近は増加傾向にありますが弊社の中でアドフラウドが発生する確率(%)はそんなに変わっていません。最も重要視しているのは、指摘があったものについてはきちんと調査をした上でパブリッシャー、メディアにお支払いをしないということを徹底しています。弊社独自のツールを開発して、その中で知見を溜めながら出来るだけ未然に防ぐ、キャンペーン毎に確認を徹底しています。
箭内氏:疑わしいものは一時クリック時に排除しているということですけど具体的にクリック時の排除というのはどのようなアクションを起こしていますか。
中林氏:ポストバックを送らない、クリックの多いパブリッシャーとはそもそも接続をしていません。またCTIT(Click to install time)やIPなど詳細を確認しYouappiとして考えている異常値から超えたものは対応しています。
APPLOVIN

萬野氏:アドフラウドと言葉が社内で出ることがほとんどない会社で、普通のことを普通にしてるだけだと思っています。 Botによるアカウント登録を防止したり、異常値の検知、 CTR、CVR、 売上推移など。現在サードパーティツールは使っていなくて今後も使うことはないと思っています。

弊社はアドネットワークになるので広告主とメディアの両方直接お繋ぎするのがメインの事業です。なので一定以上のボリュームのメディアについては全員担当がついて Face to faceでコミュニケーションを取っているので、テクニカルにアドフラウドを防止すると共に、人力でメディアとの正当性を担保するというのが一番大きな要素になってくると考えています。
箭内氏:なるほど。 二つ目のBotにあるアカウント登録の防止というのは、Applovinはパブリッシャーとして入るっていうことですか。
萬野氏:そうですね、怪しいアカウントの登録は少なからずあります。以前はSSPからのトラフィックを買っていましたが、現在そこをなくして直接SDKツールが入っているアプリだけなので、弊社からお金を取ろうと思ったらアカウント登録しなければいけない状況になっています。
LIFTOFF

天野氏:私たちは DSPなので配信先は100%SSPか配信側のパートナーと接続した上で、RTBで買い付けをしています。 RTB の買い付けの話からアドフラウドの対策の話をすると、配信面側からリクエストが来た時に、ざっと20%ぐらいは買い付けていません。このユーザーにはこの配信面には出さないというフィルターをかけているのが事前対策のところの強みです。配信面が怪しくないかユーザーIDがおかしくないかなどそのフィルターを独自に更新しています。

事後対策だと、インプレッションは出たとしてもクリックが発生しないようにクリックのところでカウントしない対処をしています。我々DSPの特徴はCPI保証のネットワークではなく、インストール後のユーザーの購入や登録を追う運用型媒体なので、それがきちんと発生しているかも確認しています。例えばイベント1 2 3 ってあった時に1を介さないで2に行くとか「おかしなカスタマージャーニーになっていないか」を日々見ていますし、もし何かあった場合には調査もそういった視点で行っています。 箭内氏:なるほど。 RTBの取引で買い付けているってことは比較的パブリッシャーサイドというか、リブロークリング(Re-brokering)って言うみたいなものはマネタイズの手法としては扱いにくくなると思いますがそれでも不正をする人はそれでもいるのでしょうか? 天野氏:そうですね、あるにはあります。アドフラウドはグローバルで見ると非常に社内で話題になっていて対策を強化していますが、日本で懸念が上がっていたことはありません。ただアメリカの例を言うと、どのネットワークも引っかかったアドフラウドがあり、そのところでは我々もアドフラウドが発生していたので、積極的に弊社側から「ここが減算対象でした、返金します」という旨のプレスリリースを出し対応しています。
MOLOCO

Ikkjin氏:MolocoはLiftoffさんと同じで100% DSPとしてSSPから買い付けています。SSP から買い付けていたとしても100%アドフラウドを防げるということはなく、自分たちで対策を講じる必要があります。一つは自分たちで作ったフラウド検知ソフトウェアがあり、それを広告主に提供しています。アドフラウド対策はやりすぎるって言うことはないと思っていて 、可能な限り排除すべきだと考えています。私たちは広告出稿していただいた会社にはアドフラウド対策ツールを無償で提供していますし、Phybbitさんのようなツールを使うことも大事だと思っています。

箭内氏:最後のオーガニックインストール奪取というデータが面白いのですが、例えば東アジア圏と欧米諸国の考え方、アプローチ方法をお聞きしたいです。
Ikkjin氏:各国で発生しているアドフラウドのテクニックや手口はシェアされていると考えています。最終的にはタイミング、マーケットが違えど、どの国でも同じ手口が流行るでしょう。例えばアメリカだとクリックインジェクションが3年前は大変な問題でしたが、業界が一丸となってそれに対して対策を打ったことでアメリカからクリックインジェクションがなくなりました。日本でも同じようにPhybbitさんみたいな会社が技術を提供することにより、クリックインジェクションをなくすというようなことが可能だと思っています。
箭内氏:先ほどのセッションBulbitの山田さんが説明していたように業界が一致団結することで撲滅ができるのではないでしょうか。
次はまた別のテーマで日本と海外というところで違うところ、まず中林さん、この中で唯一イスラエルが本社であるのでヨーロッパ寄りの考えもあるかと思います、ご説明いただけますか。
海外と日本の違いとは?
YOUAPPI
中林氏:先ほど出たようにテクニカルな部分での違いはほとんどありません。今グローバルのアドフラウドは、アメリカでは少し下火になっていてインドやインドネシアなど人口が多い市場はこぞって狙われています。日本もグローバルで見た時に平均的にCPIが高いので、やはりアドフラウドに狙われやすく事例が増えているのかと思います。
アドフラウドの業者の違いというよりどのように対策しているかが相違点だと思っているのですが、独自指標が最近増えてきたと感じています。ツールもまだ全然浸透しきっていないという状況ですが、日本の広告主、広告代理店も独自に色々工夫をされているので、アドフラウドと一言で言った時でも各社さん非常に異なっていると思います。アドフラウドの状況や傾向で似ているのが韓国かなというのを社内でも話が出ています。
アドフラウドはバチッと決まらないところが多く、疑わしい度合いが何%というのが多い中で、白黒線をつけたがるとこは一つあるかと思っています。海外だと調査の仕方が怪しいところに対してしっかりデータで示すことが多く、日本ではまだこの部分は増えていないと思っています。アメリカのようにしっかり根拠を示した上で支払いをしないというのは一つあることだと思います。
箭内氏:Youappiとしては不正がありえるということや、自社で検討確認した上で広告主さん、広告代理店さんにデータを提供しているということなのでしょうか。
中林氏:弊社からではなく広告主からご指摘いただいた場合については、データを提供していただき弊社の方でも検証しています。
APPLOVIN
萬野氏:日本では騒ぎ過ぎではないのかと感じていて、正しい知識やどのようにアドフラウドが発生しているのかをきちんと段階を踏んで理解している方がアメリカに比べるとだいぶ少ないのではないかと思っています。例えば減算依頼を受けたときにアメリカだとIP、端末データ、全て入ったローデータが送られてきますが、日本だとエクセルに何件って書いたのが来ます。
リテラシーを高めていくには皆で「何故アドフラウドが起こるのか?」を考えた方がいいのではと思います。僕は元エンジニアなのですが、広告業界に入ってトラッキングの仕組みを聞いた瞬間、10個ぐらい悪いこと思いついて、だいたい今それがアドフラウドになっています。全部が全部理解するのは無理でもアドフラウドが発生する構造はきちんと把握した方が良いと思っています。
箭内氏:エンジニアだからこそ、スタッツの分析方法、基本的な概念やアプローチ方法をご共有されていると思います。データを引き出してこのように加工すればアドフラウド検知は簡単にできるよねというのを萬野さんが教えてあげた方が良いのではないでしょうか。
萬野氏:例えばデータの異常値はみればわかると思っています。いきなり新しいネットワークに走らせたら効果が10倍いいというのはやはり異常値ですよね。普通に考えたらそんなことを起こるわけなくて、もしも起こりうる可能性があるとしたらものすごく相性のいい媒体を独占で持っているようなパターンだと思います。他と違ったデータが出ているみたいなのは毎日データを確認してみれば分かる話なのかと思います。
箭内氏:分かりましたありがとうございます。続きましては天野さんですね。
LIFTOFF
天野氏:アドフラウドの話の前に、日本では一つ一つあまり把握せずに複数ネットワークを同時に流すというプランニングで実施しているかと思います。その一方でアメリカの傾向では大きな媒体でいくつか流し、別のパートナーで深掘りしていくことが配信面、学習、であるかと思っています。日本だと「どこで何が起こっているのがわからない、どこかからの配信面が悪いから切れば大丈夫」というようにふわっと終わってしまっている点が海外との大きな違うところです。アメリカの方がアドフラウドが起こった時に何が原因なのかデータも同様徹底してすり合わせを行っています。
2つ目に韓国は日本と似ていると思っています。私は韓国も見ているのですが、韓国は去年大きなアドフラウドがあったことから市場インパクトも少なからずあり、対策に追われています。市場が似ている日本と韓国なので、日本も韓国と同じような事が起きるのか、日本にどのような影響があるのかとかは気にしています。何が起こっているのかというと、1クライアントごとにアドフラウドの判定基準をガチガチに固めていて、それにあった媒体を代理店が新たに見つけなくてはいけないので、必死に新たな媒体を探し問い合わせしまくることが今起こってる感じがします。 箭内氏:韓国で今起こったインパクトていうのは個人的にすごく気になるんですけど、Ikkjinさんにこの辺を先に聞きながら、コメントもらえればなと思います。
MOLOCO
Ikkjin氏日本、韓国、アメリカや他国ということではなく、アドフラウドはグローバルな問題だと捉えており、全てのプレイヤーが協力して戦っていく必要があると思っています。国やマーケットが異なるとアドフラウドをどのように撲滅するか方法も異なります。例えば中国や東南アジアだとディダクション(請求しない、減算)がありますがこの手法は他の国ではあまり見られなく、東南アジアで発明されたと考えられています 。

ディダクションというのはアドフラウドと戦う上ではほとんど意味のない行為
だと思っています。なぜならば減算で50%減らしたとしても残りの50%はアドフラウドに取られていることには変わりがなく、アドフラウドをやるコストは悪い人たちからしたらほとんどゼロなのです。そのため怪しい50%があれば残りの50%も怪しいと考えるべきです。つまりディダクションをしたとしても残りの50%に支払いをしているのであれば悪い人たちに払っているということになります。
正しいアプローチとしては アドフラウドが発生しない会社とビジネスを一緒にすること、またアドフラウドを検知するソフトウェアにもっと投資をすることが良いと思います。もし悪いことをしている会社を見つけたら正しく罰するということが重要です。 先ほど韓国の訴訟の話をしましたが、アメリカでもウーバーが代理店のフェッチを訴えていて今も訴訟が行われています。韓国、アメリカでも訴訟があったので今後も似たような訴訟が様々な国で起きるでしょう。
箭内氏:少し多岐に渡りましたが、訴訟問題というのが各国で行われているというのを初めて聞きました。 ウーバーとフェッチの訴訟が28億円くらいだったと思うんですけど、今も続いていて大きな問題になっているんだなと。ディダクションというお金を控除する中途半端なやり方ではなく、広告代理店、アドネットワークも訴訟リスクを頭の中に入れながら対応していかなければいけないと思いました。

ありがとうございます。次回のアドフラウド勉強会は6月を予定しております!
アドフラウドに興味のある方、ネット広告に携わる方はぜひご参加ください。