PANEL DISCUSSION 1:最も効果が高い広告は? 各プレイヤーの視点からデータを検証することの重要性

3月20日(水)にレンタルスペースbyサポーターズ にて「3月アドフラウド勉強会」を開催しました。事前の参加登録ではキャンセル待ちも出るほどで、勉強会当日も100名以上の方にご参加いただき大盛況でした。
本記事では、パネルディスカッション1:最も効果が高い広告は? 各プレイヤーの視点からデータを検証することの重要性 をお伝えします。

モデレーター
山田 翔 氏(取締役 / ADWAYS・CEO / BULBIT)

スピーカー
丸山 恭平 氏(部長 / ドリコム)
二宮 幸司 氏(取締役 / ファンコミュニケーションズ)
李 衡達 氏(CEO / YOSTAR)

アドフラウドとは?
広告詐欺のこと。主にインターネット広告におけるものを指す場合が多い。広告主(アドバタイザー)がプラットフォームなどに広告を出稿して広告費を支払っているにもかかわらず、実際には広告主にとって望ましい成果にまったくつながらない、詐欺的な広告に予算が使われているものを指す。
過去のデータを振り返ってみて

山田氏:過去のデータを振り返ってみて、必要のないコストを払っていたことってありましたか。


 丸山氏:SpiderAFを昨年末から導入しましたが、その際に40%近いアドフラウドが出ていたことが判明しました。なんとなくアドフラウドが発生していることは認知していましたが、ここまでとは思いませんでした。

李氏:弊社の場合は自然流入を奪い取るいわゆるクリックフローディングが多く発生していたようで、3月からアドフラウド対策をし始めたところ急激にROASが悪化しました。  

何故リアルタイムで気づけなかったのか?

山田氏:何故リアルタイムで気づけなかったのでしょうか。運用するメニューが多いのか、ROASでみているからなのか、それ以外に気づけなかったポイントはありますか。 丸山氏広告費を回収できていると思いこんでいる点が一番大きかったと思います。CPIだけではなくROASも見ていましたが、ROASが良いので事前の対策でアドフラウドを弾けていると思い込んでいました。事前、事後の両軸で見るということが出来ていなかったことがあります。
 
李氏:アプリのリリース時期によってマーケティングの目標が偏っているのかもしれないのですが、長期的に見るとROASベースでは回収できていました。 基本は月の予算配分の中でプロモーションを行っているので、どうしても後手になってしまう。
山田氏:ユニコーンとしては不正なトラフィックを排除していてビッドリクエストを受けている半分以上が買い付け対象外となっています。クリックとコンバージョンが起こるメディアに配信しつづけるとCPIが高くなる傾向があり、他のメディアの方がCPIが安いのでそこに予算を割きたいという話も出てきます。 お二人は経営者目線でマーケティングを実施していますが、広告費の予算が決まっていたら「CPIを安くしたい」というニーズが先行してしまうと思います。広告主からそういった要望をいただくことが多いので、本質的に変えていかなければいかないなと思っています。

二宮氏:昨年は不適切なサイトへの配信を弾くことを我々アドネットワーク側はしっかりやっていたわけですが、、、最近個人的にうける相談として、フラウドにより「ROASだけで見ていると実は違った」というご相談を広告主から直接受けることが最近増えいています。

どういう時に危険信号がともるか?

 
山田氏:過去を振り返って、こういうパターンのとき良くなかったといった分かりやすいシグナルがあればお聞きしたいのですがいかがでしょう。

丸山氏:基本的にROASが異常に良い/悪い時や、クリックの数が異常に多いとアドフラウドを疑った方がよいと思います。

山田氏:コンバージョンレートが異常に良いなど他のデータと比べて傾向が異なるデータを見つけることが判断材料になるかと思います。

二宮氏:クローズされたサービスですが、CPI海外アドネットワークとのエクスチェンジが高くなると急激にクリック数が増える現象がありました。本当にちゃんとしたクリックなのかという調査の結果、クリックを送りまくるメディアだったということがありました。 CPI×件数のみのレポートだと、異常値が見えづらいことがあるので、媒体や代理店からから詳細のレポートを出せる分だけ出してもらうということを実施したほうがいいのではないかと思います。 山田氏:異常値があるかないかが重要ですが、「基準値は何か」が広告主によって認識が異なるので、こういったものは良くないというものを広めていければよいですね。 李氏:ネット広告としてはある一定の期間配信すると思いますので、変な波があればおそらくアドフラウドが発生している可能性が高いのではないかなと思います。 山田氏:個人的な意見ですが、突然新しいメニューが出てきて圧倒的に効果が良いというのは裏があるのではと思っています。現場の人が調子が良いと言ったときに鵜呑みにせず、疑うことも大切な気はします。
広告主→広告事業者にお願いしたいことは?
山田氏:広告主→広告業者にお願いしたいことはありますか。 丸山氏:我々のコンテンツは、新規ユーザーの獲得が重要なので、より多くのメディアが生まれるように、アドネットワーク事業者にはメディアに収益があがるものをつくっていただきたいです。 「アドフラウドをやるより、良いメディアをつくったほうが収益性がある」というような状況になると良いと思います。 また、ドリコムでは各アドネットワーク事業者には控除条件を超えるものは支払わないという運用をしています。 業界全体でアドフラウドを発生させているメディアに対しては、広告費を支払わないようにしていければと思います。 山田氏:nendさんは良質なメディアが儲かる仕組みを考えられたりしていますか。
二宮氏:儲かるという視点でいうと新しいフォーマットをということはよく言われます。ただ、これだけでは解決には繋がらないので、悪質なメディアに支払っているのであれば、その分を良質なメディアに支払うべきだと思います。日本のネットワークはSpiderAFを導入しているところが多いので、各社悪質なメディアを駆逐していく対策進めていくことはできると思いますし、直近ではとても重要だと思います。
山田氏:アプリ業界で不思議だなと思っているのが、新規獲得の広告はあるけれど、既存ユーザーへの広告がないのでゲーム攻略媒体が儲かりにくいと思います。ユーザーが遊んでいないタイトルをおすすめする以外に情報がないけれど、そのタイトルの攻略情報を載せているのでそのアプリに課金させる仕組みがあればいいと思います。トラッキングが難しいということがあると思いますがどうでしょう。 二宮氏:ROAS、課金が上がっているかは計測ツールから返してもらいますが、攻略サイトなどのWebメディアだとIDFAやITPの問題でデータが活用しきれない。 活用できるデータの量でいうとアプリメディアの方が多く、そちらのほうが単価が高くなってしまいますが、もっとWebメディアが儲かる仕組みを作っていきたいですね。 李氏:実感としては、だんだん獲得がしづらくなっていると感じています。 業界全体のインプレッションが広告主にあっていないと思います。 山田氏:さまざまな手法が増えCPIが下がっているように見えてしまい、広告に割く余力が少なくなっていると感じています。アドネットワーク事業者の立場としてはメニュー毎に評価の仕方をかえてもらえると頑張りようがあるのではないかと思います。
山田氏:広告配信に関わるステークホルダー全員が同じ認識をもってアドフラウドに取り組んでいかなければいけないということを毎回お話しているのですが、今回の結論としては‥ 丸山氏まずは広告主がしっかりと自分のデータを見てどういう状況か把握することが重要です。広告主がお金を払わなければアドフラウドはなくなるので、アドフラウドに対してお金の流れを断ち切ることが必要かと思います。 山田氏:そうですね、また3rd partyのツールを使いデータを見ることも重要だと思います。
Q&A
Q:配信先が開示出来ないようなSSPと接続しているネットワーク媒体は健全と判断しても良いのでしょうか? 二宮氏:一概には言えないのですが、CPIベース(メディアにもCPIで報酬をはらっているようなケース)のアドネットワークで広告レポートの詳細(クリック数やコンバージョン率)がみれないものに関しては、、獲得できているトップ50くらいは広告が配信されているキャプチャを確認するくらい厳しくしたほうがいいと思います。 山田氏:DSPとしていて配信先は開示していません、というのも配信先を見て細かく指示されてしまうのは本質的でないと思っています。どんなサイトに出ているかは知らせるべきだと思うのでブラックリストを頂き配信しないという運用を行っています。 今後はホワイトリスト配信をしてそれに近しい配信先を拡張していくほうが良いのかと思っています。広告配信の方法を見直すべきかなと思いますが、ホワイトリスト配信に関してどう思いますか。 二宮氏:ホワイトリスト配信に関してはnendではとても進んでいます。またJIAAさんからブラックリストを提供してもらい、配信を止めています。アドネットワークとしてはなるべく広く配信するといったところがあるのでバランスをどう取っていくかが各サービスの差別化要因になるのではと思います。
Q:現在、SSP、DSP、アドネットワークがどんどん繋がっている中でプラットフォームによって不正広告や不正トラフィックの起こる確率にはかなり差があると思います。繋げば繋ぐほど線形的にリスクが増大する構造のなかで、アドネットワークやDSPが新規プラットフォームと新規で繋ぐメリットは未だあるのでしょうか? 山田氏:新しいプラットフォームに繋いでいかないと広告主の求めている新規のインプレッションが取れません。既存のSSPはつなぎ終わったので大きいアプリのRTB接続が増えてきています。大きいアプリが大きなトラフィックを持っているのでそのトラフィックを買うときにRTBにつないでいくことを始めていく感じですかね。 もっとインプレッションを出したいのに出せないという状況が起こりつつ、今までのデータを元に不正があるかないかを確認しないと良くないトラフィックを売ることになってしまいますが、新しいプラットフォームに接続していくのはまだまだ必要ではないかと思います。 Q:各社足並み揃えてアドフラウドの対応しない限り、対応したところでプロダクトが弱く見えてしまうことになりますが、どのように広告主の理解を得ればよいでしょうか? 二宮氏:細かい不正の状況は広告主側には伝わっていないケースが多く、アドフラウドの詳細が不明な場合もあります。フラウドといっても、そもそも何がおこっているのかを把握することを助けることから始めるのがいいのではないかと思っています。 例えば、私は、相談をうけたときに、不正と思われるサイトやネットワークは一旦1週間配信停止してみて、その後のデータを見ながら、止めたときの課金、インストール、オーガニックがどうかを見ていくことをやってみてはどうかという話しをします。平行して、まっとうにやろうとしている事業社が足並みをそろえて、情報発信、基準ガイドライン作成などをしていくことが大事かなと思います。 山田氏:原理主義的ですがどんどんいい形で売っていくことで報われる日が来るのではないかと思います。
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