「広告配信事業社各社のアドフラウド対策」

2018年11月1日(木)渋谷ヒカリエ DeNAさんのイベントスペースにて第二回アドフラウド勉強会を実施し、100人以上の方にご参加いただきました!
この勉強会は「アドフラウドを正しく理解してもらい、広告業界全体で取り組むよう啓蒙する」 というミッションを掲げ実施しています。今回はそのイベントの様子をパネルディスカッション毎に分けてお伝えします。

パネルディスカッション1のテーマは「広告配信事業社各社のアドフラウド対策」
DSP、SSP、アドネットワーク各社キーパーソンが、各社の過去に試してみた施策を一挙公開!実際にアドフラウド対策で悩まれている皆さんは、ご参考にされてみてはいかがでしょうか。

■モデレーター
大野 祐輔 (Supership株式会社)

■ディスカッションメンバー
溝田 吉倫 (株式会社アイモバイル)
金子 武比古 (株式会社Zucks)
山崎 雅弘 (ログリー株式会社)
安田 崇浩 (ソネット・メディア・ネットワークス株式会社)


大野 祐輔氏(以下大野):今回モデレータを務める大野です。各社さんアドフラウド対策をされているということでしたので、どのように対策されているかそれぞれご説明いただきたいと思います。

 

アイモバイル – CTR CVR の異常検知

まずはアイモバイルさん、私の方で気になるところをお聞きしたいんですけれども
– CTR異常メディア検知
– CVR異常メディア検知
– LTV計測機能による不正検知
このあたり具体的にどのようなことをされていますか。

溝田 吉倫氏(以下溝田):我々アドネットワークですのでCPC課金モデルになっています。
われわれにとってのアドフラウド対策、つまり広告主に対しての対策は不正なクリックを防ぐというところに注力しています。
その中でCTRというのは各メディア・各広告枠・各バナーサイズで平均値を取っています。その平均値と大きく乖離するところをチェックしています。

チェックしていくってところにスライドの上から3つ目にある、どういうIPからきているのか、アプリならIFAいわゆるIDFA、cookie、不正なクリックになるものは大体ある程度の法則性が出てきます。
そういった時にIP、IDFA、cookieをブロック対象にしていきます。

CV異常というのもCV率の平均値から乖離するのは怪しいよねと。
我々はCPI型ではないのでCVに関してはそこまでやる必要はないけれど、不正なCVがあがるのであればそこもきちんと検知しています。

LOGLY – 自社にて検証プロジェクトを発足

大野:続いてLOGLYさん、2017年7月 自社にて検証プロジェクトを発足とありますが、
どういった経緯で発足したのか具体的にご説明いただけますか。

山崎 雅弘氏(以下山崎):ちょうど2017年1月に有名なスピーチとなった、P&G社最高ブランド責任者マーク・プリチャードさんのアドフラウドに関してのスピーチがありました。
そこから機運が盛り上がって、弊社のクライアントさんである広告主から
「どういった対策をしていますか?」「どういった対応が可能ですか?」
というお問い合わせを一気にいただくようになりました。
それがきっかけで透明性の確保や健全性をしっかり示していかなければいけないということで立ち上がりました。

広告主さまから求められた部分が大きく、
「第三者ツール(インテグラルアドサイエンスさんといったツール)を入れて配信しないと広告を出さない。」という要望があり、今後世界的にもこうなるだろうということで開発しました。
受身だけではいけないので、どういう内容か把握するため対策チームを発足し週次でレポートをしています。

Logicad – ads.txtの活用

大野ads.txt配信機能(2018/9~)とありますが、アドネットワークにはない機能ですよね。
そもそもどんなものなのか、導入された背景をお教えください。

安田 崇浩氏(以下安田):ちょうど先月からリリースしました。DSPの場合各SSPから大量のビットリクエストを受けていて、その中には様々な広告枠のドメインが含まれています。
ドメインが正しくない場合がアメリカでは多いので、ドメインを確認する手段・手法がIAB(米国のインタラクティブ広告業界団体、Interactive Advertising Bureauの略)によって制定されました。
それに対応した広告枠しか買わないという動きがアメリカのGoogleを中心としたDSPで広がっていて、日本のパブリッシャーの多くも対応を進めています。

ads.txtとはビットリクエストに入ってくるドメイン名を確認するためにDSP側自らサイトへ行き、情報をクロールしてある種のビットリクエストのIDとクロールしたIDが一致したら正しいと確認をする仕組みです。
日本の場合はドメインを偽装することはアメリカよりも多くはないですが折衷は広がっていて、「ads.txtが確認された広告枠にのみ配信したい。」という要望に対応したいと思っています。

大野:全案件ではなくクライアントさんからその機能があった場合のみ対応するのですね。
ads.txtがあまり対応できていないように感じているのですが、日本のパブリッシャーさんの普及率はどうですか?

安田:弊社の場合月間3,000億くらいビットリクエストを受けていてほとんどをクロールしていますが、ads.txtと合致するものはおおよそ80%でかなり対応は進んできていると思います。

大野:JIAA情報提供による警察庁・IHC違法・有害サイトリストの停止対応 ドメイン、URL単位にて即時配信停止できる機能有
このあたりはどういう頻度でやっていますか。

安田:月に二回メールベースで広告配信で適切でないURLやドメインには入札しないように進めています。

大野当社による定期的な目視確認(2014/10~)とありますが具体的にはどういったことをしていますか。ビットリクエストを目視で確認しているんですか。

安田:ビットリクエストの数は非常に多くすべてを目視確認できるわけではありませんが、ビットリクエストの多い順から一つ一つ見ていきLogicadの広告基準に合うか合わないかという視点で目視確認を外部業者にお願いしています。
広告基準に合わないものについては配信していません。

大野:基本的にはブラックリストに入れる感じなんですか。

安田:はい、その通りです。

Zucks – 事前・リアルタイム・事後の3段階で検知

大野:Zucksさんについてなのですが、
事前:申請時に過去フラウド判定受けていないか。
リアルタイム:不正imp/クリック判定
事後:配信結果から過去に不正があったパターンの検知
について詳しく説明していただいてもいいですか。

金子 武比古氏(以下金子):アドネットワークの業者さんであれば同じように対応していると思うのですが、フラウドの判定をできるだけ早めに把握できればいいので事前に確認できる仕組みを強化しています。

大野:これはいわゆる媒体者さんが広告枠の申請をしてきたときに御社の審査チームがチェックしているのですか。

金子:そうですね、あとは事後で配信のログから不正があったものに関しては同じように申請の時に過去にフラウド判定されたメディアを持っていないかをみて事前に弾いています。

大野リアルタイムの不正imp/クリック判定はどういった形で行なっていますか。

金子:同一IPからのアクセスや明らかにボットできているものはリアルタイムで弾いています。

大野:その場合は広告を介さないということですか。

金子:はい、そのような場合もありますしクリックを弾いてカウントしなかったりする場合もあります。

大野JIAAの情報提供とありますがロジカドさんと同じようなものになりますか。

金子:おそらく同じリストのものだと思います。広告代理店経由で来るパターンなど様々な経緯でリストがやってきます。

大野:アドネットワークにおけるブランドセーフティーとはどういうことをやっているのですか。

金子:パフォーマンス型のアドネットワークなのでCPIやCPAをベースに広告配信を行っています。
今後こういったサイトや記事に対して広告配信をしたくないところは外部ツールと連携して対策していきたいです。

不正媒体の変化は?増えてきたのか?減ってきたのか?

大野:以上が各社さんの対応についてとなります。
私はSupership社でSSPもDSPをやっていて、どちらかというとSSP寄りのビジネスを5年前に行なっていました。
世間で言うようなアドフラウドは社会で取り上げるほど以前は関心がなかったのですが、直近になって話題性が出てきていますよね。
社会現象になり不正な媒体広告が減ってきたのか?より悪質になったのか?
立ち位置が異なった視点での不正な媒体広告の変化っていうのをお聞きしたいのですが。

安田さん、DSPって一方的にSSPからビットリクエストが送られてくるので不正な媒体やアドフラウドからの攻撃を受けやすいのかと思いますが、増えていますか減っていますか。

安田:まず不正が何かという意識が少し変わってきていると思います。
「不正広告」「フラウド」というキーワードとともにネット広告が安心安全を求められていると感じていて
広告主や広告代理店などから「どのライン(線引き)から不正とみなすか、どの広告媒体の出稿を好まないと思うか。」ということが多様化してきました。
各社の依頼に応じてラインのようなフィルターを用意することが最近増えてきていますね。

大野:それはいわゆるダイレクトレスポンスや認知系で個別で調整しているのですか。

安田:案件ごとに変わってきます。認知系のマーケティング施策だと「この基準でお願いします。」という各社の基準を持って依頼が来るので、それに順じた広告配信をしています。

大野:金子さん、アドネットワークさんだと自社で媒体を審査していると思うのですが媒体の変化はどうですか。

金子:最近だと減ってきています。というのも弊社でフラウド判定をしたメディアは広告を停止、広告効果が悪ければ単価が下がっていくような運用になっているので悪質なメディアに対して収益性が下がる対策をしています。 そうなると不正なメディアはZucksの広告を貼っていても意味がないので、減ってきているのではないかと思います。 このようなメディア群をここにいる配信業社の皆さんで共有できるとより減らせていけると思っています。

溝田:金子さんがおっしゃったように減ってきているとは思いますが、新たな手法も生まれているので我々もバージョンアップしていかなければならないと思っています。
DSP、アドネットワークはパフォーマンス型なのでアドフラウドが発生すると広告効果が下がってしまいます。
そこに対してかなりのスピード感でCPCが追随して下がっていく形になっているので、アドフラウドをやろうと思っていても儲からないという実態になっていっているのではないかと思います。
目視確認もしているのでそもそも怪しいサイトは審査を通らない、水際のところで止めています。

大野:一度審査をOKしたところも再パトロールで強化している感じですか。

溝田:審査をした同月内に弊社の審査部で4~5,000サイト目視確認をしています。また外部業者にも同じく目視確認をしてもらっています。

大野:山崎さん、レコメンドウィジェットというところだと他の事業社さんに比べて不正は少ないですか。

山崎:そうですね、あからさまに怪しいものは数として少ないと思います。
数字を見ていて気になるのは、大きなトラフィックがあるメディアの中で”意図していないアドフラウド”と思わしきトラフィックが、時間帯によって発生していることです。
またクリック課金なので直接的ではないのですが、いわゆるコンバージョンの乗っ取りに関しては詳細を研究しきれてない部分もあります。

大野:ありがとうございます。ここからは質問を受け付けたいと思いますが会場の皆さん何かありますか。

Q:具体的に異常検知は何を持って異常とみなすのか。

山崎:デイリーでチェックしているCTRが目安になります。
広告枠の平均値を把握していると明らかに異常なものが発生するので、悪意のあるのを止めています。

金子:数値の平均値からも見ていますが、他にリファラ等、様々な情報で総合的に不正メディアかどうかを判断しています。 一発でNGの場合もありますが、怪しきメディアに対しては、フラグを立て経過的に観察しています。 エンジニアがログでチェックし、それでも判断が難しい場合は、審査チームが目視で確認しています。

溝田:冒頭でお伝えしたように広告の枠やサイズで平均値を出しています。フッダーなのにヘッダーのCTRが出ているとおかしいのできちんと貼られているのか目視確認から始めています。
過去にも何度か一発退場したことがありメディアから反論があったことがありました。
調査してみると他者から攻撃されたという事例もあるので、もう一度確認をして戻すということもありますね。

大野:結構そういうケースもあるのですか。

溝田:頻繁にはないですが、時々そういったことも起こります。急に異常値が発生した場合はメディアに一報をいれています。

大野:手口が巧妙になりギリギリのラインを攻めてきますもんね。

溝田:IPや様々な組み合わせをみていくとおかしいところがあるので。そこをパターン化していき検出して事前に落としていきます。

安田:DSPだとビットリクエストが大量にくるということがあります。
1時間は3,600秒しかないのに1時間に1万回ビットリクエストがくる、時間的制約や空間的制約から IP偽装を確認しています。
例えば、1時間以内に東京・大阪・沖縄で同じIPでリクエストがある、ログを見てみるのインプレッションは日本だけれどログは海外など。

大野:そういうパターンもあるんですね。御社の調査チームや外部ツールを使用して調べているのですか。

安田:アドフラウドソリューションとして外部ツールを導入しIPアドレスやユーザーベースで異常検知したものをリアルタイムで教えていただいき入札しないということを実施しています。またビットリクエストで弾き、広告配信した結果おかしいというのも自社内で調べ2段階で確認しています。

Q:アドフラウドによって無駄なお金がなくなりビューアビリティーの高い枠の単価は上がっているのか。

大野:良い質問ですね。インプで買うDSPが影響を受けるかと思うのですが、安田さんどうですか。

安田:ビューアブルになった広告枠のみ買い付け可能になるビットリクエストの種類によって買い付け方法が変わりました。
その前後でCPMが変わっています。
その理由として、CTR・CVRは広告効果に応じ学習して入札単価が変わっていきます。
配信後のCPI・CPMの高い広告枠には高い入札金額を設定して高く買う、そして広告効果を得られてみんなハッピーになるといった好循環が生まれている成功事例もあります。

大野:そうなんですね。アドネットワークも影響は受けるのでしょうか、金子さん。

金子:アドネットワークだとクリックでの課金です。そのため、ビューアブルでないとそもそも課金はされないので、単価は高くなる傾向にあります。

溝田:CPMが上がるのは広告効果につながるかどうかということなので、ビューアブルかビューアブルでないかというより広告効果があるかないかですね。

大野:掲載面を指定して良い枠に載せるとは思うのですが傾向として良い枠は前より単価は上がっているのですか。

溝田:はい、それはありますね。ホワイトリスト運用となってくると集中してきます。

大野:LOGLYさんは実際にこういうケースありますか。

山崎:あります。フラウドと思しきクリックを排除した後の推移を見たとき、単価は上がる傾向にありますが、タイムラグがあります。 すぐに上がるわけではないので、サービスとして提供している私たちは向き合わなければならないと思っています。

 

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アドフラウド勉強会は定期的に開催する予定です。次回は12月になりますのでこちらよりグループ登録をお願いします。